富岡住宅4号棟

今回の案件は「富岡住宅4号棟」です。 富岡住宅は過去にも他の棟ではありますが耐震基準適合証明書の発行実績のある団地です。クランツ事務所からも金沢区である事からほど近くなじみのある団地でもあります。

今回は、フラット35のリフォーム一体型を合わせての適合証明依頼でした。依頼主は湘南方面全域で展開をしている地元大手の不動産会社の「三春情報センター」様でした。 フラットのリフォーム一体型とは、融資金額にリフォーム工事費も加えて融資が受けられる制度の事です。

ただ、このマンションは旧耐震のために、フラットの適合証明にも特別の判定審査が必要で、旧耐震の耐震適合と共通するところも多く、合わせての審査となりました。

富岡住宅4号棟はプレキャスト壁式鉄筋コンクリート造

耐震基準適合証明は、丁寧に言うと「新耐震基準適合証明」のことで、旧耐震マンションは基本的に対象外となります。 旧耐震マンションである富岡住宅で新耐震基準適合証明を取得するには、新耐震並みの耐震性が有る事を証明する必要があります。その方法が国土交通省が認める耐震診断(簡易)です。

その耐震診断のためにはインプット情報としても構造設計図が必要です。

 

ただ、構造設計図が有ればどのような旧耐震マンションでも可能かといえばそうではありません。 ほとんどの旧耐震マンションの場合ではNGとなります。構造様式と階数に条件が有ります。 一般的な構造様式のラーメン構造ではなく「5階建て以下の壁式構造」に限ります。  

鉄筋コンクリート造には大きく分けると、ラーメン構造と壁式構造が有ります。 普段目にする構造はラーメン構造と言ってコンクリート製の柱と梁で構成されている事に対して、壁構造はその梁と柱は無く、コンクリートの壁で造られている構造を言います。

壁式構造は旧耐震設計でも、もともと耐震ポテンシャルが極めて高い構造です。 旧耐震のラーメン構造と壁式構造を耐震診断をすると、ラーメン構造はほとんどNGとなるものの、壁式構造は高い確率でクリアーします。そのポテンシャルは阪神淡路大震災の被害調査において証明されました。 旧耐震の壁式構造の耐震診断システム(簡易)は、その実績を基に組み立てられています。

富岡住宅は、金沢シーサイドタウンの開発初期の大規模住宅で、当時の日本住宅公団にて進められました。 管理組合による管理状態も良好で、設計図書も大事に保管されていて、詳細な構造設計図の閲覧が可能でした。