竹山団地1701号棟

竹山団地1701号棟は、昭和46年10月に竣工した5階建ての壁式鉄筋コンクリート造の共同住宅です。昭和46年の竣工なので旧耐震の設計基準で築造されています。 このレポートは耐震基準適合証明書のレポートですが、そもそも耐震基準適合証明は、該当の住宅が新耐震基準に適合していることを証明するのもです。

何回もこのレポートでは記していますが、基本的に発行不可の旧耐震マンションの耐震基準適合証明を、一定の検証法によって「新耐震基準」に準じる証明書として発行することです。この証明に該当するのは、5階建て以下の壁式鉄筋コンクリート造に限り、国土交通省の定める検証法に適合することで発行できるものです。

竹山団地の所在は、横浜市緑区竹山に位置します。日本が高度経済成長をしている真っ最中に、爆発的に人口が増えてきた横浜市民の住居不足に対応するために、神奈川県住宅供給公社が緑区の広大な丘陵地を大規模開発して作ったものです。 最寄の駅はJRの鴨居駅で、現地まではバスで10分程度の距離で、徒歩圏ではありません。



竹山団地1701号棟の現地調査

竹山団地1701号棟

現地調査に先立ち、壁式構造の簡易耐震診断のために設計図の閲覧を行います。事前に不動産会社を通じて得た閲覧承諾があり、閲覧要請には現地管理会社様はとても親切に対応してくれました。 長いこと旧耐震の適合証明のために設計図の閲覧をさせていただいておりますが、設計当時の設計資料はきっちりと残っておりました。

確認申請提出書類の中に「構造計算書」がありますが、これも全て保存されていて、ここまで維持されている管理事務所は極めて少ないです。設計構造関係の資料は最大限にデジカメにて撮影させていただきました。そのために事務所に帰ってからの耐震診断は極めてスムーズに行きました。

設計図閲覧の結果、壁式構造のなかでも竹山団地は「プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造」であることがわかりました。もう一つの構造パターンである「現場打ち壁式鉄筋コンクリート造」ですが、「現場打ち壁式鉄筋コンクリート造」の場合では躯体のコンクリート強度試験を実施して規定の強度確認が求められます。幸に竹山団地1701号棟は「プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造」ではそれが不要でした。

写真の通り、1階あたり2世帯×5階建ての合計10世帯の共同住宅でした。 現地調査ではプレキャスト壁構造の特徴であるパネルジョイントがはっきりと認められます。 小ぶりな建物のため全周の目視確認も容易に出来ました。その結果。外壁のパネルに構造上のクラックは認められず、コンクリート中の石灰成分の抽出であるエフロレッセンスも認められません。現地確認では構造上の問題点は見当たりませんでした。

現地においてデジカメで撮影した設計データと現地調査の調査結果を基に、簡易的な耐震診断の結果、耐震基準適合証明書の発行可能物権であることが確定しました。