北柏ライフタウン16号棟

今回の対象は、「北柏ライフタウン16号棟」です。所在地は千葉県の柏市松葉町にあります。 クランツ事務所は神奈川県横浜市金沢区が所在地です。横浜と言っても南端で、すぐそばは横須賀市があります。クランツ事務所の対応エリアは、一応神奈川県全域ですが、東京の案件依頼もたまにありますので対応させていただいています。

しかし今回は千葉県の柏市です。当事務所からは相当に遠方になりますが、なんとかして耐震基準適合証明が欲しいとの要望でしたので対応させていただくことにしました。 依頼人は浅草に営業拠点を置く不動産会社様です。旧耐震の適合証明を取り扱っている事務所は東京にもあまりありません。 ネットで検索し、神奈川の弊事務所に発行依頼をしていただきました。位置的にクランツ事務所の対応エリアの範囲外ですので、躊躇しましたが、取り組むことにいたしました。

調べてみると当時の住宅公団の分譲マンションで、典型的な壁式構造のマンションです。 旧耐震の適合依頼を頂いた段階で、発行が可能な壁式構造であるかないかの判断をします。もちろん販売図面も参考にしますが、重宝するのはなんと言っても「ストリートビュー」です。ストリートビューに編集されている物件なら、大体この作業でほぼ判定が可能です。多くの壁式構造の物件を見てきた関係で、画像を見るだけで「現場打ち」か「プレキャスト」かの判別まで可能です。

設計構造図の閲覧

北柏ライフタウン16号棟

壁式構造であることが確認できたら、耐震診断のために「設計図の閲覧承諾」を取っていただくように要請します。耐震基準適合証明は、新耐震基準に適合していることを証明することですから、基本的に旧耐震は対象外になりますが、当該建物は旧耐震であっても新耐震並みの強度があることを証明するために、耐震診断が必須なのです。そのためには設計構造図の閲覧が不可欠なのです。

クランツ事務所からはやはり柏市は遠かったですね。金沢区から湾岸道路にて太井を経由し、首都高速で北上して常磐道や東北道を経由して進めます。片道90キロ以上の行程でした。往路は上りだからかもしれませんが多少の渋滞はありましたが、帰りはスムーズでした。

現地に到着し、管理事務所にて設計図の閲覧をさせていただきます。閲覧と言っても設計図を一瞥するだけでは有りません。情報を持ち帰り耐震診断をする必要上、デジカメにて撮影します。このレポートは16号棟ですが、5号棟も同時に審査することになりましたので、同時撮影させていただきました。 構造図の閲覧で、耐震診断にてクリアーできることを確信しました。設計図の閲覧で「現場打ち壁式構造」であることが断定できましたので、コンクリートの強度試験が必要です。

現地調査

北柏ライフタウン16号棟

実際の現地調査を行います。 まずは外観調査です。外観を一周して構造クラックやエフロレッセンスがないことを確認します。その後、階段にて対象住居に登り、提供された鍵で入室します。一通り内部の構造部分を目視にて問題がないことを確認しました。耐震基準適合証明はフラット35適合証明と違い、住居内部よりも建物全体の審査がメインです。建物全体が構造基準に達していることを審査します。現地調査は特に問題はありません。

現場打ちの壁構造のため、住居のPS(パイプスペース)にて「コンクリート強度試験」を実施します。試験機は「非破壊試験機」のシュミットハンマーで10ポイントの反発係数にて計算して算出します。このデータを持ち帰り計算の結果、とても強度の高いコンクリートであることがわかりました。

上記の通り、耐震診断の結果も全てにおいて国土交通省の定める基準をクリアーすることが出来ました。もちろん躯体のコンクリート強度はとてもハイレベルな強度が維持されていることも確認でき、問題なく「旧耐震の耐震基準適合証明書」の発行を行うことが出来ました。