あざみ野住宅3-3-1号棟

今回の住宅は「あざみ野住宅3-3-1号棟」です。あざみ野住宅は今回で2件目になります。今回の建物は前回の物件と共通点が多いので、書くことは前回と似たものになります。似ているからと端折ってしまうとレポートになりませんから、ダブっていることは承知で書くことになります。 このレポートを訪問してくださる方はほとんどの方が初めての方だと思いますので、ここは一から記述していくべきだと思う理由です。

前置きが長くなりました。
今回の依頼人は、このエリアを主なテリトリーとする大手の不動産仲介会社様でした。他の地域では何回か依頼を受けていますが、このエリア内においては初めてのご依頼物件でした。

あざみ野住宅は港北ニュータウンのほぼ中心地、田園都市線のあざみ野駅と横浜市営地下鉄のあざみ野駅を徒歩圏とするエリアに展開しています。二つの私鉄を利用可能なで、田園都市線で東京圏にも近いことから大変人気があります。

なだらかな丘陵地を造成して作られた大規模なニュータウンで、ニュータウンと銘打っていることから日本経済が高度経済成長期の人口爆発時期に開発されました。時期的には多摩ニュータウンから少し経った頃になるでしょう。開発事業者は日本住宅公団、現在の住宅都市整備公団で、低層を主体としたゆったりとした建物間隔で配置されています。 自然の景観を巧みに利用したことにより、なだらかな傾斜地に緑豊かな植栽が豊富で、住環境はとても高いレベルにある住宅です。

あざみ野住宅3-3-1号棟の特徴

あざみ野住宅3-3-1号棟

あざみ野住宅3-3-1号棟は昭和56年以前の建築確認物件ですので旧耐震マンションとなります。 基本的に旧耐震マンションは、登記費用減税や住宅ローン減税や不動産取得減税を受けることができません。 中古マンションでそれらの優遇税制を受けるためには、「耐震基準適合証明」が必要ですが、この証明は新耐震基準に適合していることを証明する書類ですから、旧耐震ではそもそも対象外になるわけです。

ではなぜあざみ野住宅3-3-1号棟は旧耐震マンションなのに「耐震基準適合証明書」の発行が可能かと申しますと、壁式鉄筋コンクリート造であるからです。壁式鉄筋コンクリート造は耐震強度に優れていることが証明されています。そのことが立証されたのが、「阪神淡路大震災」による被害状況の調査でした。 新耐震の建物でも大きな被害を受けたものもある中で、なんと旧耐震の壁式鉄筋コンクリート造の建物はほとんど無傷だったのです。

上記の調査結果を踏まえ策定されたのが、「壁式鉄筋コンクリート造の簡易耐震診断」です。5階建て以下の壁式鉄筋コンクリート造にかぎり、「壁式鉄筋コンクリート造の簡易耐震診断」を実施してすべての項目をクリアーしたものは新耐震マンションと同等をみなすことができ、前記の優遇税制を利用できるのです。

あざみ野住宅3-3-1号棟は6連戸の5階建て30世帯の現場打の「壁式鉄筋コンクリート造」です。壁式マンションの最大の特徴である階段が3か所設置されていて、各住戸には階段から直接玄関に入ることができます。外観上の特徴は階段が多く、かつ北側の開放廊下が無ないことです。

「壁式鉄筋コンクリート造の簡易耐震診断」を行うためには構造設計図が必要です。今回も例にもれず事前に管理組合に対して設計図の閲覧承諾申請をし、承諾していただきましたので、保管場所の管理事務所に出向き、対象の設計図を閲覧させていただきました。 なにしろあざみ野住宅は住棟が多く、それぞれに設計図も異なるために対象の設計図を選出するのに手間取りました。管理人様お世話になりました。

この住宅は壁式構造の中でも現場打なので、コンクリートの強度試験の実施が必須です。強度試験は対象住戸のPSの壁面にて行いました。 コンクリート強度試験・簡易耐震診断の両方とも適合を確認し、あざみ野住宅3-3-1号棟の対象住戸の「耐震基準適合証明」を発行することができました。関係者の皆様、ありがとうございました。