茅ヶ崎宮ノ前ハイツ3号棟

今回の審査対象物件は、「茅ヶ崎宮ノ前ハイツ」の3号棟です。所在地は茅ヶ崎市今宿。位置的には国道1号線 の沿線上にあり、新湘南バイパスの「茅ヶ崎西インター」出口のすぐそばです。クランツ事務所からの行程は、新西湘バイパスを利用するとさほど時間はかかりません。

今回の依頼人は、地元の茅ヶ崎市をメインエリアとする地元の不動産会社様でした。このマンションの購入希望者から住宅ローン減税を利用したいとの要望でしたが、旧耐震のために途方にくれてネットで検索して幣事務所に審査の依頼が入りました。

そもそも「耐震基準適合証明」は新耐震の基準に適合していることを証明するものなので、旧耐震の建物は対象外になるわけです。実際に昭和56年5月以前の設計建物は、現行の基準にて震診断をするとほとんどの物件で強度不足であることがわかります。しかしながらとてもまれなケースではあるものの、旧耐震設計でも現行の構造強度基準をクリアーできる建物も存在します。

要するに、簡単に言えば旧耐震マンションで「耐震基準適合証明書」を取得するには
①耐震診断を実施していて、その結果が合格のもの
②耐震診断を実施しているが強度不足が判明したので、不足分を耐震補強工事で補強済みのもの
の二つです。

実際には、耐震診断は実施したものの耐震補強工事には莫大な費用が掛かるために管理組合における住民合意が得られず、補強を断念しているケースがとても多いのです。

しかしながら、耐震診断をしていないにもかかわらず、耐震基準適合証明書を取得できるケースがあります。それがこのHPでお奨めしている「壁式構造の耐震基準適合証明」なのです。実際はクランツ事務所にてこの壁式構造のマンションの耐震診断を実施して、問題が無いことを確認して発行しています。

なぜに壁式構造に限ってそれが可能なのかといえば、壁式構造はもともと旧耐震設計であってもとても高強度な構造形式だからです。 それが証明されたのが、先の「阪神淡路大震災」の被害状況調査でした。 この被害調査には全国の建築士が集められ、収集された膨大な調査データの解析結果がその理由です。

ともすれば新耐震設計のビルでも深刻な被害が発生している中にあって、ほとんど無傷の構造形式の建物があることが判明しました。それがこの「壁式鉄筋クリート造」だったのです。調査対象の建物の中には多数の旧耐震設計のマンションも存在していましたが、どれもほとんど被害を受けていなかったのです。

この事実を踏まえ、国土交通省告示によって「既存壁式鉄筋コンクリート造等の建築物の簡易耐震診断法」が定められました。 クランツ事務所ではその診断法にのっとって構造の安全性を確認し、構造基準をクリアーできたマンションについて「耐震基準適合証明書」を発行しています。

とても前置きが長くなりましたが、ようするに茅ヶ崎宮ノ前ハイツのような壁式構造のマンションは、旧耐震であっても「既存壁式鉄筋コンクリート造等の建築物の簡易耐震診断法」によって適合の可能性が高く、今回もその方式にのっとり実施したわけです。

茅ヶ崎宮ノ前ハイツはとても開放感のあるマンションです。白が基調の外壁は湘南の開けた空にとても合います。 中庭のある開放感のあるマンションは一は、住民同士のコミュニケーションの場ともなるでしょう。

設計図の閲覧や現地調査もとてもスムーズに進めることができました。関係者の皆様大変ありがとうございました。