宮前平グリーンハイツ23号棟

今回の案件は「宮前平グリーンハイツ23号棟」です。 宮前平グリーンハイツは過去に2回ほど他の棟において耐震基準適合証明書を発行しています。 なので勝手知ったる旧耐震マンションです。 

耐震基準適合証明書は読んで字のごとく、耐震基準に適合していることを証明する書類です。 簡単に耐震基準と銘打っていますが、正確には新耐震基準適合証明のことで、対象は新耐震の建物です。なので原則的には旧耐震マンションは対象外になります。

ただし原則的といったのは例外があるからです。 その例外とは、5階建ての壁式構造の場合には所定の「耐震診断」で条件をクリアーした建物に限り「耐震基準適合証明書」を発行できます。

なぜに壁式構造が例外措置の対象になるかといえば、基本的に壁式構造はもともととても強度の高い構造形式で、そのことが先の阪神淡路大震災の被害調査によって証明されたからです。この調査結果によって旧耐震の団地においてもほとんど被害を受けていないことが明らかになりました。 

上記の調査結果を踏まえ、5階建ての壁式構造の場合に限って国土交通省の定める「耐震診断法」による要件をクリアーした物件に限って耐震基準適合証明書の発行が許されます。

上記の「耐震診断法」を実施するためには「設計図」が必要で、保管している管理組合にその設計図の閲覧をさせていただくことが必要になります。 なのでたんに壁式構造の建物であるだけではだめで、構造設計図の閲覧が前提になります。

宮前平グリーンハイツ管理事務所には過去の審査において設計図の閲覧の実績もあり、設計図の保管管理者とも面識があり、閲覧承諾交渉はスムーズに進みました。

壁式旧耐震マンションの発行依頼から受領まで

宮前平グリーンハイツ23号棟

発行依頼人は川崎市の鷺沼に営業拠点を置く地元の不動産会社様。 実は今回の依頼は、このレポートの前のレポートの「川和団地」の依頼人の不動産会社様からの紹介によるものです。 かねてからフラット35や耐震基準の適合証明を依頼している事務所から、「宮前平グリーンハイツ23号棟」は旧耐震なので耐震基準適合証明書は発行できないと宣告されたそうで、困り果てているときに同業者の不動産会社から幣事務所を紹介されて打診がありました。

対応の可否の打診について可とお答えしたらとても喜んでいましたが、いつまでたっても正式な審査依頼が来ません。やっと正式依頼が来たのは決済の4日前でした。 土日を挟んでの4日前ですから、通常では物理的に間に合いません。 普通では管理事務所は土日が休みが多いところが多いですが、幸いにもこの管理事務祖は土曜日は営業しているのでやっとのことで設計図の閲覧に間に合いました。

耐震基準適合証明書を最初に利用するのは登記費用減税です。 売買契約が成立し、購入代金の支払い等の決済が行われてはじめて所有権の移転ができます。 所有権移転をするために法務局で移転登記をするわけですが、この時に耐震基準適合証明書を利用するわけではありません。使用するのはその前で、所轄の役所で「住宅家屋証明書」を取得する時に耐震基準適合証明書を使用します。なので変更登記する前にこの書類が必要になるのです。

耐震基準適合証明書は希望すればすぐにでも取得できると勘違いしていることがあります。それは大きな間違いです。ほとんどの物件で発行可能な新耐震マンションでも現地調査が必要ですし、なおさら旧耐震の場合では新耐震には不要の耐震診断を行う日程が必要です。特に壁式構造の旧耐震マンションの場合は注意が必要です。

①正式に発行審査依頼を行ける
②依頼側による、設計図の閲覧承諾を取る
③クランツ事務所が設計図の保管場所に出向き閲覧をさせていただく。合わせて現地調査を実施する。
④設計図のデータを基に耐震診断を行い、合格の場合に適合証明書を作成する
⑤書類の発送をする

クランツ事務所では上記の行程のうえで耐震基準適合証明書の発行を行います。 書類の郵送機関も考慮に入れたスケジュール管理がとても重要です。
よろしくお願いいたします。